2025年11月14日
グローバル展開を加速!Next.js/Jamstackで構築する多言語サイトのベストプラクティス

I. 導入:なぜ今、多言語サイト構築に「ベストプラクティス」が必要なのか?
現代のビジネスにおいて、国境を越えた情報発信はもはや特別なことではありません。グローバル市場への拡大を目指す企業にとって、多言語対応のWebサイトは必要不可欠な存在となっています。しかし、多くの企業が多言語サイトの構築において、以下のような課題に直面しています。
- 翻訳管理の煩雑さ: 複数の言語コンテンツを一元的に、効率よく管理するのが難しい。
- SEO対策の複雑さ: 言語や地域ごとの検索エンジン最適化(Hreflang属性など)が難解で、期待する効果が得られない。
- パフォーマンスの低下: 多言語化によってサイトが重くなり、ユーザー体験を損ねてしまう。
- 開発・運用コストの増大: 複数言語の維持管理が、人的・金銭的な負担を増やす。
これらの課題を解決し、高速かつSEOに強く、そして運用しやすい多言語サイトを構築するための最適なソリューションとして、今、Next.jsとJamstackの組み合わせが注目されています。
本記事では、Next.js/Jamstack環境で、効果的かつ効率的に多言語サイトを構築・運用するための具体的な方法論と、知っておくべきベストプラクティスを解説します。
II. 多言語サイト構築の基本戦略:Next.jsの多言語ルーティング
Next.jsは、多言語サイト構築を強力にサポートする国際化(i18n)ルーティング機能を標準で提供しています。
- Next.jsの国際化(i18n)ルーティング機能の概要 Next.jsでは、
next.config.jsファイルにlocales(対応言語リスト)、defaultLocale(デフォルト言語)、localeDetection(ユーザーのブラウザ設定に基づく自動言語検出の有効/無効)を設定するだけで、多言語ルーティングの基礎を簡単に構築できます。
- ドメイン戦略の選択: 多言語サイトのURL構造には主に3つの戦略があります。
- サブディレクトリ:
yourdomain.com/ja/,yourdomain.com/en/(推奨) - サブドメイン:
ja.yourdomain.com,en.yourdomain.com - トップレベルドメイン:
yourdomain.jp,yourdomain.comそれぞれの戦略にはメリット・デメリットがありますが、ブラキオでは**「サブディレクトリ」戦略を推奨**しています。これは、同じドメインパワーを共有しやすく、SEO上の恩恵を受けやすい点が大きいためです。
- サブディレクトリ:
- ページ遷移とロケール検出 Next.jsでは、
next/linkコンポーネントやrouter.pushを使用する際に、自動的に現在のロケール(言語)を維持したままページ遷移が行われます。また、localeDetectionを有効にすることで、ユーザーのブラウザ設定やIPアドレスに基づき、最適な言語バージョンへ自動的にリダイレクトすることも可能です。
III. コンテンツ管理:ヘッドレスCMSを活用した翻訳コンテンツ戦略
多言語コンテンツの管理と配信の効率化には、ヘッドレスCMSの活用が不可欠です。
- ヘッドレスCMSでの多言語コンテンツ管理 microCMSのようなヘッドレスCMSを使用することで、コンテンツと表示ロジックを分離し、多言語コンテンツを一元的に管理できます。
- 例:microCMSでの多言語コンテンツ管理方法
- 各言語のコンテンツを独立したサービスとして作成し、関連付ける: 例えば、ブログ記事サービスを「ブログ記事 (日本語)」「ブログ記事 (英語)」のように分け、記事IDなどで関連付けます。
- 同じサービス内で言語ごとにフィールドを分ける: 例えば、タイトルフィールドを
title_ja,title_enのように設定し、一つの記事内で複数言語を管理することも可能です。 - コンテンツの「翻訳ステータス」を管理するフィールド(「未翻訳」「翻訳中」「翻訳済」など)を設けることで、翻訳プロセスを可視化できます。
- 翻訳管理とワークフロー 翻訳作業を効率化するためには、ヘッドレスCMSから翻訳対象コンテンツをエクスポートし、翻訳会社や翻訳ツール(DeepL API連携など)と連携するワークフローを確立することが重要です。コンテンツの変更があった際に、どの言語のどの部分が変更されたかを明確にし、翻訳プロセスにスムーズに引き継げる体制を整えましょう。
- 画像・アセットの多言語対応 言語や文化圏によって、画像や動画などのアセットを使い分けたい場合があります。ヘッドレスCMSでは、言語ごとに異なる画像フィールドを用意したり、特定の言語設定時にのみ表示されるアセットを管理したりすることも可能です。
next/imageのような画像最適化機能と組み合わせることで、各言語バージョンで最適なアセットが配信されます。
IV. SEO対策:多言語サイトの成功に不可欠な要素
多言語サイトにおけるSEOは非常に複雑ですが、適切な対策を行うことで、各言語圏での検索エンジンからの評価を高めることができます。
- Hreflang属性の正しい設定 Hreflang属性(
link rel="alternate" hreflang="x"タグ)は、同じコンテンツの異なる言語・地域バージョンが存在することを検索エンジンに伝える最も重要な要素です。これにより、重複コンテンツとして扱われることを避け、ユーザーの言語設定に合ったページを検索結果に表示させることができます。Next.jsでは、Headコンポーネントを活用してHreflang属性を動的に生成し、各ページの正しい言語・地域情報を検索エンジンに伝えることができます。 - URL構造の最適化とカノニカルタグ 多言語戦略(サブディレクトリ、サブドメイン)に合わせたURL構造を確立し、カノニカルタグを正しく利用することが重要です。カノニカルタグは、複数のURLで同じコンテンツが存在する場合に「正規」のURLを検索エンジンに伝えることで、インデックスの最適化を促します。
- XMLサイトマップの多言語対応 検索エンジンがサイト内のすべてのページを効率的にクロールできるよう、各言語バージョンに対応したXMLサイトマップを作成しましょう。複数の言語のURLを一つのサイトマップに含める、または言語ごとに独立したサイトマップを作成し、すべてをインデックスサイトマップでまとめる方法があります。
- Google Search Consoleでの管理 各言語バージョンのサイトやドメインをGoogle Search Consoleに登録し、パフォーマンスやエラーを監視しましょう。Hreflang属性のレポートなどを活用することで、多言語SEOの状況を把握し、改善につなげることができます。
V. 開発・運用:効率的な多言語サイトを実現する技術的側面
Next.jsとJamstackは、多言語サイトの開発効率と運用コストを最適化するための強力な技術的側面を持っています。
- TypeScriptとmicroCMS SDKによる型安全な開発 複雑になりがちな多言語データ構造を、TypeScriptの型定義で厳密に管理することで、開発時のヒューマンエラーを大幅に削減できます。microCMSが提供する公式SDKをTypeScriptと組み合わせることで、APIからのレスポンスデータを型定義し、コードの簡潔化と開発効率の向上を実現します。
- CI/CDによる自動化されたデプロイ JamstackのCI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)パイプラインを活用することで、コンテンツの更新やコードの変更があった際に、多言語ビルドが自動的に行われ、各言語バージョンが迅速にデプロイされます。これにより、手動でのデプロイ作業をなくし、最新情報を素早く公開できる体制を構築できます。
- パフォーマンスの維持と最適化 JamstackのSSGによる事前ビルドとCDNからのグローバルな高速配信は、多言語サイトにおいてもそのパフォーマンスを維持します。世界中のどこからアクセスしても、ユーザーは高速で安定したウェブ体験を得ることができ、これはユーザーエンゲージメントとSEOの両方に好影響をもたらします。
- テスト環境の構築 多言語サイトでは、各言語バージョンが正しく表示され、適切なコンテンツが配信されているかを確認するための厳密なテストが不可欠です。本番環境に影響を与えないテスト環境を構築し、各言語のリンク、翻訳の正確性、表示崩れなどを継続的にチェックできる体制を整えましょう。
VI. まとめと次のステップ
Next.jsとJamstackの組み合わせは、多言語サイト構築における現在のベストプラクティスと言えるでしょう。高速なパフォーマンス、堅牢なSEO対策、効率的なコンテンツ運用、そして高い開発効率を全て兼ね備えることで、グローバルビジネスにおけるWebサイトの可能性を最大限に引き出します。
ブラキオでは、Next.js/JamstackとヘッドレスCMS(microCMS推奨)を活用した多言語サイト構築の実績とノウハウを豊富に持っています。貴社のグローバルビジネスを成功させるためのWeb戦略と開発を、企画段階からトータルでサポートいたします。
多言語サイトの構築やリニューアルをご検討でしたら、ぜひ一度ブラキオにご相談ください。貴社のグローバル戦略をWebサイトから強力に支援させていただきます。
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