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2025年05月08日

なぜJamstackはセキュアと言われるのか?WordPressとの比較と対策

Jamstack
なぜJamstackはセキュアと言われるのか?WordPressとの比較と対策

近年注目を集めるウェブサイト構築アーキテクチャ「Jamstack」。その特徴の一つとして、高いセキュリティ性が挙げられます。本記事では、Jamstackがセキュリティに優れる理由を解説し、広く利用されているWordPressと比較しながら、具体的な対策についても掘り下げていきます。

Jamstackがセキュリティに優れる理由

Jamstackが従来のアーキテクチャと比較してセキュリティが高いと言われる主な要因は、以下の点に集約されます。

  1. サーバーレスアーキテクチャ: 静的なファイルをCDN経由で配信し、動的な処理はAPIに依存するため、ウェブサーバー自体が攻撃対象となるリスクを大幅に低減できます。常時稼働するデータベースやサーバーサイドアプリケーションが存在しないため、侵入経路が減少します。
  2. 攻撃対象の縮小: WordPressのようなCMSは、データベース、PHP実行環境、CMS本体、プラグイン、テーマなど、多岐にわたる要素が攻撃対象となり得ます。一方、Jamstackサイトは静的なファイルが中心であり、これらの攻撃対象を大幅に削減できます。
  3. 機能の分離: 動的な機能は、認証、データベース、フォーム処理など、特定のタスクに特化した外部APIやサービスに委譲されます。これにより、単一の脆弱性がサイト全体に影響を及ぼすリスクを軽減できます。
  4. CDNによる配信: CDNは一般的にセキュリティ対策が施されたインフラストラクチャ上で動作し、DDoS攻撃などへの耐性が高い傾向があります。また、静的ファイル配信はサーバーサイド処理の必要がないため、サーバー側の脆弱性を利用した攻撃を防ぎます。

WordPressとのセキュリティ比較

WordPressは非常に普及しているCMSであるため、常に攻撃者の標的となりやすい状況にあります。プラグインやテーマの脆弱性、本体のアップデート遅延、サーバー設定の不備などがセキュリティインシデントの原因となる可能性があります。SQLインジェクションやPHPの脆弱性を利用した攻撃も懸念されます。
一方、Jamstackは静的ファイルが中心であるため、これらの攻撃経路は基本的に存在しません。動的な処理はAPIに依存しますが、適切に選定・管理されたAPIサービスを利用することで、ウェブサーバー自体の脆弱性リスクを低減できます。
ただし、Jamstackも完全に安全ではありません。利用するAPIサービスのセキュリティ、フロントエンドのJavaScriptコードの脆弱性、ビルドプロセスのセキュリティなどが新たなリスクとなる可能性があります。重要なのは、それぞれのアーキテクチャの特性を理解し、適切なセキュリティ対策を講じることです。

Jamstackサイトが改竄される可能性と対策

Jamstackアーキテクチャは、その特性から従来の動的なウェブサイトと比較してセキュリティが高いと考えられていますが、完全に改竄のリスクがないわけではありません。ここでは、Jamstackサイトが改竄される主な経路と、それに対する具体的な対策を掘り下げて解説します。

1. 利用するAPIサービスの脆弱性

Jamstackサイトでは、フォームの送信、認証、Eコマース機能、検索など、動的な処理を外部のAPIサービスに依存するケースが多くあります。これらのAPIサービスにセキュリティ上の脆弱性があった場合、そこを足がかりに不正アクセスが行われ、データが改竄されたり、悪意のあるコンテンツが挿入されたりする可能性があります。
改竄の例:

  • フォームから送信されたデータが不正に操作され、意図しない情報がバックエンドに送られる。
  • 認証APIの脆弱性を突かれ、不正なユーザーが管理者権限を奪取する。
  • EコマースAPIの脆弱性を利用して、商品情報や価格が改竄される。

対策:

  • 信頼できるAPIサービスの選定: 実績があり、セキュリティ対策に力を入れているAPIプロバイダーを選びましょう。提供しているサービスのセキュリティに関する情報を確認し、脆弱性への対応状況などを把握することが重要です。
  • APIキーの適切な管理: APIキーは機密情報であり、ソースコードや公開リポジトリに直接埋め込むことは絶対に避けるべきです。環境変数やサーバーレス関数の環境設定などを利用して安全に管理し、不正なアクセスから保護しましょう。
  • APIの利用範囲の制限: APIによっては、利用元のドメインやIPアドレスを制限できる場合があります。可能な限り設定し、不正なリクエストを遮断しましょう。
  • APIのアップデートの適用: 利用しているAPIサービスのアップデート情報を常に把握し、セキュリティ関連のアップデートが提供された場合は速やかに適用しましょう。
  • レート制限の実装: APIへの過剰なリクエストを防ぐために、レート制限を実装することを検討しましょう。DoS攻撃などのリスクを軽減できます。

2. フロントエンドのJavaScriptの脆弱性

Jamstackサイトのインタラクティブな要素は、主にJavaScriptによって実現されます。もしJavaScriptコードにセキュリティ上の欠陥(脆弱性)があった場合、クロスサイトスクリプティング(XSS)などの攻撃を受ける可能性があります。XSS攻撃を受けると、悪意のあるスクリプトがユーザーのブラウザ上で実行され、Cookieやセッション情報が盗まれたり、サイトの表示が改竄されたりする可能性があります。
改竄の例:

  • 悪意のあるスクリプトが埋め込まれ、サイトの見た目が意図しないものに変更される。
  • ユーザーが入力した情報が、攻撃者のサーバーに不正に送信される。
  • Cookieが盗まれ、攻撃者がユーザーになりすましてサイトを操作する。

対策:

  • ユーザー入力の適切なエスケープ処理: ユーザーからの入力(例えば、検索フォームのキーワード、コメントなど)をそのままHTMLに出力する前に、必ずエスケープ処理を行いましょう。これにより、悪意のあるスクリプトが実行されるのを防ぎます。
  • Content Security Policy (CSP) の設定: CSPは、ブラウザが読み込むことを許可するリソース(スクリプト、スタイルシート、画像など)の配信元を制限する仕組みです。CSPヘッダーを適切に設定することで、XSS攻撃の影響を大幅に軽減できます。
  • Subresource Integrity (SRI) の利用: SRIは、CDNなど外部の配信元から読み込むファイル(JavaScriptライブラリなど)の整合性を検証する仕組みです。<script>タグや<link>タグにintegrity属性を追加することで、ファイルが改竄されていないことをブラウザが確認できます。
  • 信頼できるライブラリの利用と定期的なアップデート: 利用するJavaScriptライブラリは、セキュリティに関する実績があり、活発にメンテナンスされているものを選びましょう。また、ライブラリに脆弱性が発見された場合は、速やかに最新バージョンにアップデートすることが重要です。
  • セキュリティレビューの実施: コードレビューや静的解析ツールなどを活用して、JavaScriptコードに潜在的な脆弱性がないか定期的にチェックしましょう。

3. ビルドプロセスの侵害

Jamstackサイトは、通常、静的サイトジェネレーター(SSG)などを用いて、ソースコードから静的なファイルを生成するビルドプロセスを経ます。もしこのビルドプロセスが侵害された場合、生成された静的ファイルに悪意のあるコードが埋め込まれる可能性があります。
改竄の例:

  • ビルドスクリプトが改竄され、意図しないJavaScriptコードが最終的なHTMLファイルに挿入される。
  • 依存しているパッケージに脆弱性があり、ビルド時に悪意のあるコードが混入する。
  • ビルドを実行するサーバーが侵害され、生成されたファイルが改竄される。

対策:

  • ビルド環境のセキュリティ強化: ビルドを実行するサーバーのアクセス制御を厳格に行い、不正なアクセスを防ぎましょう。
  • 依存関係の管理と監査: package-lock.jsonyarn.lockなどを利用して依存関係を正確に管理し、セキュリティスキャンツールなどで脆弱性を定期的にチェックしましょう。
  • ビルドパイプラインの監視: CI/CDパイプラインの各ステップを監視し、不審なアクティビティがないかを確認しましょう。
  • ビルド成果物の検証: ビルドされた静的ファイルの内容を定期的に確認し、意図しない変更がないかをチェックしましょう。
  • 信頼できるツールの利用: ビルドプロセスで使用するツールは、信頼できる開発元が提供しているものを選びましょう。

4. CDNのアカウントの侵害

Jamstackサイトの静的ファイルは、通常CDN(コンテンツ配信ネットワーク)を通じて配信されます。もしCDNのアカウントが不正にアクセスされた場合、配信されている静的ファイルが改竄され、サイトの見た目が変わったり、悪意のあるコンテンツが表示されたりする可能性があります。
改竄の例:

  • CDNに保存されているHTMLファイルが書き換えられ、偽のログインフォームが表示される。
  • JavaScriptファイルが改竄され、ユーザーの行動を追跡するスクリプトが埋め込まれる。
  • 画像ファイルが差し替えられ、不適切なコンテンツが表示される。

対策:

  • 強力なパスワードと二段階認証の設定: CDNアカウントのパスワードは複雑なものを使用し、可能な限り二段階認証を設定しましょう。
  • アクセス権限の適切な管理: 複数人でアカウントを共有する場合は、担当者ごとに必要な権限のみを付与し、不要なアクセス権限は削除しましょう。
  • アクセスログの監視: CDNのアクセスログを定期的に監視し、不審なアクセスがないかを確認しましょう。
  • HTTPSの強制: CDN経由での通信をHTTPSで暗号化し、中間者攻撃による改竄を防ぎましょう。
  • WAF (Web Application Firewall) の導入: CDNによっては、WAF機能を提供している場合があります。WAFを導入することで、悪意のあるリクエストを遮断し、改竄のリスクを軽減できます。

5. 開発環境の侵害

開発者のPCや開発環境がマルウェアに感染した場合、意図しないコードがリポジトリにコミットされ、それがデプロイされてしまう可能性があります。
改竄の例:

  • 開発者の意図しないバックドアがコードに仕込まれ、デプロイされてしまう。
  • マルウェアによって、機密情報(APIキーなど)が盗まれ、悪用される。

対策:

  • 開発者PCのセキュリティ対策: オペレーティングシステムやソフトウェアを常に最新の状態に保ち、信頼できるセキュリティソフトを導入しましょう。
  • 不審なメールやファイルを開かない: フィッシング詐欺などに注意し、不審なメールやファイルは安易に開かないようにしましょう。
  • バージョン管理の徹底: Gitなどのバージョン管理システムを利用し、変更履歴を適切に管理しましょう。不審なコミットを発見した場合、速やかにロールバックできるように備えておきましょう。
  • リモートアクセスの制限: 開発環境へのリモートアクセスは必要最低限に留め、アクセスする場合は安全な接続方法(SSHなど)を利用しましょう。

これらの対策を講じることで、Jamstackサイトのセキュリティレベルを大幅に向上させ、改竄のリスクを低減することができます。Jamstackの特性を理解した上で、多角的なセキュリティ対策を実践していくことが重要です。

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